白内障手術後は普通に生活できる?

手術後の大切な目を守り、合併症を防ぐためには、日常生活でいくつか気をつけていただきたい点があります。

目は非常にデリケートな器官ですので、少しの間、一緒に注意していきましょう。ここでは、手術後の注意点や避けるべき習慣について、分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 【~1週間】感染予防が最優先:洗顔・洗髪・アイメイクはできません。目に水や異物が入らないように細心の注意を。
  • 【~1ヶ月】目に負担をかけない:激しい運動や目に水が入る可能性のあること(水泳など)は避けましょう。
  • 【運転再開】:視力が安定し、医師の許可が出るまでは運転できません。
  • 【定期検診】:術後の経過観察と合併症の早期発見のために、医師の指示通り受診しましょう。

ここでは、手術後の時期ごとに、具体的な注意点や過ごし方について分かりやすく解説します。一緒に確認していきましょう。

手術当日~3日目:まずは安静と感染予防

手術直後は、目がデリケートで最も感染しやすい時期です。まずは無理せず、目を安静に保ち、感染予防に努めることが大切です。

  • 保護メガネ/眼帯: 医師の指示に従って、目を保護するために必ず着用しましょう。就寝時も忘れずに。
  • 点眼薬: 処方された点眼薬は、感染予防や炎症を抑えるために非常に重要です。回数や時間を守って、確実に点眼してください。
  • 目に触れない: 目をこすったり、押さえたり、叩いたりしないように、無意識の動作にも注意しましょう。
  • 入浴・シャワー: 首から下のシャワーは当日から可能なことが多いですが、目に水が入らないように十分注意してください。洗顔・洗髪はまだできません。
  • 日常生活: テレビを見たり、本を読んだりすることは可能ですが、目が疲れない程度にしましょう。家事なども軽いものにとどめ、無理は禁物です。
  • 飲酒・喫煙: 炎症を悪化させる可能性のある飲酒や、目を刺激する喫煙は控えましょう。

【この時期のポイント】
何よりもまず「安静」と「清潔」を心がけ、目をこすったり、水を入れたりしないように注意しましょう。処方された点眼薬は忘れずに。

手術後~1週間:感染予防の徹底期間

引き続き、感染予防が最も重要な時期です。日常生活での制限もまだ多いですが、目の回復のために大切な期間です。

  • 洗顔・洗髪・(アイ)メイク: 原則として、まだできません。目に水や石鹸、化粧品の粒子が入るのを防ぐためです。どうしても洗いたい場合は、目に水が入らないように工夫してくれる美容院に相談するか、固く絞ったタオルで顔を拭く程度にしましょう
  • 入浴(湯船): 医師の許可が出れば可能になることもありますが、必ず指示に従ってください。許可が出ても、湯船のお湯が目に入らないように注意が必要です。
  • 運動: 家の中での軽い活動や、目の負担にならない程度の散歩は可能ですが、汗をかくような運動や、体に力が入るような活動は避けましょう。
  • 運転: まだ視力が不安定なため、車の運転はできません。
  • 飲酒・喫煙: 引き続き控えるのが望ましいです。

【この時期のポイント】
洗顔・洗髪ができないのが少し辛い時期ですが、感染予防のためもう一息です。目に水や異物を入れないことを徹底しましょう。

手術後~1ヶ月:徐々に普段の生活へ、でも油断は禁物

目の状態が落ち着いてくる時期ですが、まだ完全ではありません。医師の許可を得ながら、少しずつ活動範囲を広げていきましょう。

  • 洗顔・洗髪・メイク: 医師の許可が出れば、通常この時期から可能になります。ただし、再開後も目を強くこすらないように注意してください。アイメイクも同様に医師の許可を得てからにしましょう。
  • 運動: 軽い運動(ウォーキング、ストレッチなど)は医師に相談の上で再開できます。ただし、汗が目に入らないように注意し、目に衝撃が加わる可能性のあるスポーツ(球技など)や、目に水が入る水泳などは、まだ避けましょう
  • 運転: 視力が安定し、医師の診察で許可が出れば再開できます。ただし、見え方に慣れるまでは慎重に運転しましょう。特に夜間の運転は眩しさを感じやすいことがあります。
  • 入浴: 通常通り入浴できるようになりますが、目を強くこすらないようにしましょう。
  • 飲酒: 医師に相談の上、問題なければ少量から試してみましょう。
  • 目の保護: 日常生活で目をぶつけたり、強くこすったりしないように、引き続き注意が必要です。

【この時期のポイント】
少しずつ制限が解除されますが、自己判断せず、必ず医師の許可を得てから活動を再開しましょう。目の保護は引き続き大切です。

手術後1ヶ月以降:安定期、でも定期検診は忘れずに

多くの場合、この時期になると視力も安定し、ほぼ普段通りの生活を送れるようになります。

  • 日常生活: ほぼ制限なく過ごせるようになります。
  • 運動: 医師の許可があれば、これまで控えていたスポーツなども再開できます。
  • 目のケア: 安定しても、目を大切にする習慣は続けましょう。目に異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。
  • 定期検診: 目の状態が安定した後も、合併症(後発白内障など)が起こる可能性もあるため、医師に指示された定期検診は必ず受け続けましょう。これが、長期的に良好な視力を保つ秘訣です。

【この時期のポイント】
普段通りの生活に戻れますが、油断は禁物。目の異常に気づけるようにし、定期検診でチェックを受けることが大切です。

手術後の見え方と満足度

手術後の生活に少し制限があることをお伝えしましたが、多くの方が手術によってクリアな視界を取り戻し、生活の質の向上を実感されています。

当サイトが白内障手術を経験された100名の方に行ったアンケート調査では、手術後の見え方や生活について、以下のような結果となりました。

アンケートグラフ(手術後の満足度について)
調査対象:44歳~89歳までの白内障手術の経験がある男女
調査機関:アスマーク利用、調査期間:2022年7月7日調査、有効回答数:100人

約9割の方が、白内障手術後の見え方や生活に「満足」または「やや満足」と回答されており、手術によって生活の質が向上したと感じている方が多いことがわかります。手術後の注意点を守り、目を大切にケアすることが、この高い満足度につながっていると言えるでしょう。

まとめ

白内障手術後数日~1ヶ月程度の、日常生活における注意点をまとめました。

手術後は感染に注意が必要で、術後1週間程度は洗顔・洗髪・お化粧などは控えましょう。また、外傷の危険性を伴う激しい運動や、視力が安定するまでの期間の運転などには気をつけましょう。

日常生活に注意が必要な期間の目安は1ヶ月程度。

以降は、物理的な衝撃や見え方に対する注意が中心で、日常生活は普段通り過ごせるでしょう。

手術で入れる眼内レンズによって術後に裸眼でピントが合う範囲が異なります

白内障手術の後に、裸眼で生活をしたい方は、多焦点眼内レンズを選ぶといいでしょう。

単焦点レンズと多焦点レンズの違いをまず知った上で、クリニックを選ぶようにしましょう。

▼表は横にスクロールできます

単焦点レンズ 多焦点レンズ
特徴 ピントが合う距離は1点。
近くまたは遠くに合わせて選択する必要があるが、1点を鮮明な画質で見ることができる
ピントが合う距離は多数。
近くも遠くも見えやすくなり、中には中間距離にピントが合うものも存在する
メリット ・色の濃淡の判別がしやすい
・まぶしさを感じるハロー・グレア現象が起こりにくい
・眼鏡を外した生活が期待できる
・パソコンやスマホ、スポーツなど、生活上様々なシーンに適応できる視力になる
デメリット ・手術後は眼鏡が必須になる ・色の濃淡の判別がしづらいことがある
・ハロー、グレア現象が起こりやすい
治療費 治療費・レンズ費共に保険が適用
※レーザー手術の場合は自由診療となる
【厚労省認可あり】
治療費:保険適用
レンズ費:自由診療
【厚労省認可なし】
治療費・レンズ費共に自由診療
向いているのはこんな人 ・費用を抑えたい人
・画質の鮮明さを重視する人
・色の濃淡の判別が必要な仕事、趣味を持っている人
・できるだけ眼鏡を使いたくない人
・目に白内障以外の病気がない人
・完璧を求め過ぎない人

単焦点眼内レンズの画像:

画像参照元URL:https://eye-care-clinic.jp/tokyo/treatment-multifocal

多焦点眼内レンズの画像:

画像参照元URL:https://eye-care-clinic.jp/tokyo/treatment-multifocal

多焦点眼内レンズは、裸眼での生活を快適にすることを目指しています。

保険適応外になりますが、
ちょっとしたことでメガネやコンタクトをしなければいけないことや、作り替えに不便を感じている人は、
多焦点眼内レンズを選ぶことで、メガネやコンタクトを装着する煩わしさから解放されるでしょう。

単焦点レンズか多焦点眼内レンズかの選択だけでなく眼内レンズには様々な種類があるので、
眼の状態やライフスタイルを踏まえ、医師と相談した上で決めることをおすすめします

監修者情報

松本行弘 医師
多焦点眼内レンズの豊富な知識と経験を有する医師
松本理事長写真写真引用元:アイケアクリニック公式HP(https://eye-care-clinic.jp/doctors)

年間2000件を超える白内障手術実績を有する「アイケアクリニック」の松本医師。(2023年10月1日調査時点)。患者の「見え方」に対する幅広いニーズに対応するため、20種類以上の多種多様な眼内レンズを用意しています。
その知見の深さから、公式Youtubeチャンネル(※)で、白内障手術や多焦点眼内レンズの正しい情報発信にも取り組まれています。

※公式youtubeチャンネルへ遷移します。

    経歴
  • 獨協医大越谷病院 眼科
  • University of Maryland, Department of Ophthalmology, Research Fellow
  • University of Washington, Biological Structure, Visiting Assistant Professor
  • 獨協医大越谷病院 眼科 准教授
  • 獨協医大越谷病院 眼科 緑内障・黄斑・PDT・角膜の各専門外来主任
  • を歴任

以下では、白内障手術を行うにあたって欠かせない条件である、単焦点レンズと多焦点レンズの両方に対応しているクリニックを都道府県ごとに紹介しています。

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