多焦点眼内レンズによる白内障手術はドライアイを直接引き起こすものではありませんが、ドライアイがあると見え方に影響する場合があります。本記事ではドライアイとの多焦点眼内レンズ手術に関する情報を解説しています。
前提として、ドライアイは涙の分泌量が低下することで生じるものであり、多焦点眼内レンズは涙の分泌量の増減に直接的な影響を及ぼしません。つまり多焦点眼内レンズによる白内障治療が直接的な原因となってドライアイが発生したり、症状が悪化したりといった影響は基本的にないと考えられます。ただしドライアイのせいで結果的に見え方が悪くなったり、そのせいでドライアイが進行したと感じたりすることは考えられます。
多焦点眼内レンズの特性としてドライアイの人の目と相性があまり良くないという課題があり、手術前にドライアイが分かっている場合は、まずドライアイの治療や対策を適切に行ってから改めて手術を検討する冷静さも大切です。
ドライアイが進行することで角膜の表層にある涙の層が不均一になり、光の通り方にばらつきが生じます。すると、ものがぼやけて見えたり、見えにくさを感じたりすることがあり、また目が乾燥することで痛みや不快感が生じることもあるでしょう。
多焦点眼内レンズは精密な構造となっているため、ドライアイによって角膜を通過する光にばらつきが生じると、結果的に想定されている見え方や視力が再現できない恐れもあります。
ドライアイの症状として、目の乾燥の他にも、目のかすみや眼精疲労、まぶしさ、痛み、不快感・異物感など様々なものが挙げられ、症状の程度にも個人差があります。
多焦点眼内レンズは遠近または遠中近といったように複数の距離にピントを合わせられるよう、光学的に精密な構造で製造されています。そのためドライアイのような症状による影響でも光のバランス悪化や見え方の変化を引き起こす可能性を無視できません。
見え方の違和感を放置していると日常生活でストレスを感じやすくなるだけでなく、脳に負担がかかったり疲労が蓄積したりするため、ドライアイの症状や違和感が気になった場合は速やかに医師へ相談してください。
ドライアイか否かを診断するために、眼精疲労や違和感、目の赤みなど複数の検査項目がリスト化されたチェックシートを使用します。またセルフチェックとして、10秒間ほどまばたきせず目を開けていられるかどうかで確認するといった方法もあります。
どうしても目を開けていられない人はドライアイの可能性があるかも知れません。
前述したように多焦点眼内レンズによる白内障治療を受けるには、まずドライアイの治療やケアを適切に行うことが大切です。ドライアイの治療としては生活習慣の改善の他、点眼薬の使用などが一般的です。
ドライアイは慢性疾患と考えられており、治療やケアで改善しても状況によって再発する可能性があります。そのためドライアイは完治の困難な症状であり、多焦点眼内レンズで白内障手術を行った後も継続的に点眼薬の使用や、生活環境・生活習慣の健全化を心がけていきましょう。
また眼科医の定期検診を受けることも安定的な視力の維持に有効です。