年間2000件を超える白内障手術実績を有する「アイケアクリニック」の松本医師。(2023年10月1日調査時点)。患者の「見え方」に対する幅広いニーズに対応するため、20種類以上の多種多様な眼内レンズを用意しています。
その知見の深さから、公式Youtubeチャンネル(※)で、白内障手術や多焦点眼内レンズの正しい情報発信にも取り組まれています。
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多焦点眼内レンズ治療の費用の内訳は、「術前検査」「白内障手術費用」「レンズ代」「術後検診」の4項目です。
術前検査は10,000円前後が相場となっています。術後検診は、1回あたり3,000円~6,000円程度。片目の場合は6回、両目の場合は8~10回程度が目安です。
手術費用は少し複雑に思わるかもしれません。
多焦点眼内レンズの手術の場合、白内障手術にかかる費用に加えて選定療養費がかかります。選定療養費は、「レンズ代」と考えると分かりやすいでしょう。
白内障手術は保険が適用され、片目の手術で3割負担の場合は50,000円程度です。1割・2割負担の方は15,000円程度になります。選定療養費は、選択するレンズによって異なりますが、30~60万円程度です。
病院によっては、手術前後に使用するキャップ、ガウン、テープなどの消耗品費が別項目として請求される可能性があります。1,500円~2,000円程度です。
片目で保険1割負担の方の場合、多焦点眼内レンズ治療の総額は35万円前後を考えておくといいでしょう。
2020年4月から、多焦点レンズの治療費に関する変更がありました。これまで先進医療の枠組みだった多焦点眼内レンズが先進医療から外れ、選定療養という枠組みになりました。この変更は、患者が支払う費用に影響しています。多焦点眼内レンズ治療の費用を把握するためには、選定療養がどのような制度なのかを理解した上で、選定療養の場合の費用について確認する必要があります。
選定療養とは、社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで、保険適用の治療と併せて保険適用外の治療を受けられる医療制度のことです。
医療サービスには、「保険適用の治療」と「保険適用外の治療」があります。保険適用外の治療は、治療費を全額自己負担することで受けられる治療です。
治療内容によっては、保険適用治療と保険適用外治療の併用治療が行われることがあります。この場合、その治療のすべてが保険適用外となっていました。つまり、保険適用治療部分も含めて、全額自己負担になるということです。
選定療養では、保険適用の治療を含む保険適用外の治療において、保険適用部分と追加部分とに分け、追加部分を選定療養費として支払うことで、保険適用治療部分は保険を適用した費用で受けられるということになりました。
つまり、保険適用と保険適用外を、費用面で併用できる制度です。
多焦点眼内レンズが選定療養になったことによる影響は、先進医療の対象にならなくなったという点にあります
。それまでは多焦点眼内レンズ治療は、先進医療の対象でした。公的保険ではなく、民間の医療保険において、先進医療特約の対象になっていた治療だったのです。保険適用外でしたが、保険の特約に加入していれば、保険で費用がまかなえていました。
先進医療から外れたため、先進医療特約は使えなくなっています。
現在、多焦点眼内レンズの手術費用は、「白内障手術+レンズ代」という内訳になっています。白内障手術費用は保険が適用されます。レンズ代は選定療養費のことで、自己負担となります。
ただし、選定療養として取り扱える多焦点眼内レンズは、厚生労働省が認めているレンズのみです。
非認可のレンズを選択した場合は、自由診療となり、白内障手術費用部分も含めて全額自己負担となります。
多焦点眼内レンズ治療は、2020年4月以降、先進医療が使えなくなり、選定療養の対象となりました。これにより、治療 費は、手術費用(保険適用)と差額レンズ費用(保険適用外)の合算となっています。合計で35万円前後が予想されますが、選択するレンズによって費用に差が生じることは覚えておくといいでしょう。
多焦点眼内レンズ治療には、術前検査や術後検診の費用もかかります。提示する治療費の内訳を細かくしている場合、消耗品費も記載されているかもしれません。費用の説明を受ける際は、内訳を意識すると分かりやすいです。提示された費用の妥当性を判断するためにも、多焦点眼内レンズ治療の費用について理解しておきましょう。