白内障手術後はいつからゴルフを再開できる?

白内障手術後のゴルフ再開目安

練習場でのスイング再開タイミング(術後1〜2週間)

白内障手術の直後は創口がまだ完全に密閉されておらず、眼圧の急上昇や細菌侵入のリスクを極力避ける必要があります。
一般的に、散歩や軽い家事などの「汗をかかない日常動作」は翌日から可能とされますが、クラブを振る動作は腹圧や頭部の揺れを伴うため、最低でも術後1週間は控えるのが安全です。
術後1週間目の診察で角膜の透明度や炎症所見、眼圧が安定していることを確認し、医師から点眼管理を継続しつつ軽いアプローチ練習を許可された段階から、短時間・低強度でスイング感覚を取り戻すのが推奨されます。

さらに、術後2週間を過ぎても充血や眩しさが残る方は少なくありません。練習再開時には紫外線カット率99%以上のスポーツサングラスを着用し、汗や砂ぼこりが目に入らないよう吸水速乾キャップやタオルを併用してください。
ショット数は最初は30球程度に留め、翌日の違和感をセルフチェックしながら段階的に負荷を上げる方法が、再発感染や角膜障害を防ぐうえで有効です。

コースラウンド再開タイミング(術後1ヶ月)

18ホールを歩き切るラウンドは、バッグ重量や斜面歩行による全身疲労が想像以上に大きく、術後早期に無理をすると目だけでなく全身に炎症を誘発する恐れがあります。
多くの眼科では「本格ラウンドは術後4週(約1か月)以降」がひとつの目安とされ、術後3~4週目の定期検診で角膜内皮の回復状態や視力安定度を確認し、医師が問題なしと判断して初めて許可が出ます。
練習場でハーフスイング→フルスイングと段階的に負荷をかけ、翌日も違和感がないことを再確認してからコースへ出ることで、術部への急激なストレスを避けられます。

また、1か月を過ぎてもハイデフレンズや多焦点眼内レンズの屈折値が完全に安定するまでには個人差があり、目標視力に到達していても「眩しさ」や「奥行き感のズレ」を感じるケースがあります。ラウンド復帰初日は9ホールにとどめ、キャディ付きやカート使用コースを選択して負荷を減らすとともに、終日サングラスと保護メガネを使って紫外線と飛砂対策を徹底してください。

術後の経過と医師への相談ポイント

定期検診の重要性と確認事項

白内障手術後の定期検診は、術翌日・3日後・1週間後・2週間後・1か月後・2か月後というスケジュールが一般的に組まれます。この期間に角膜浮腫や眼圧上昇、後発白内障の初期徴候を見逃さないことが、長期的な視機能の安定とゴルフ再開時期の短縮に直結します。
診察では視力・眼圧・前房炎症所見に加え、紫外線下での眩しさやコントラスト感度の変化を医師へ細かく報告し、必要に応じて点眼内容や装用レンズを調整してもらいましょう。

特に術後1か月検診では、コース復帰可否を決定する重要な判断材料が揃います。ここで異常がなくても、ゴルフのような屋外スポーツでは紫外線暴露時間が長く、微細な角膜損傷が生じやすい点に注意してください。
医師に対しては「バッグを担ぐ予定がある」「早朝スタートで結露が多い季節」など具体的なプレー環境を伝えることで、個別に抗炎症点眼の延長や人工涙液の追加処方を受けられる可能性が高まります。

個別の体調・合併症リスク評価

糖尿病や高血圧、緑内障既往のある方は、白内障手術後の創傷治癒が遅れたり、眼圧が不安定になったりする傾向が報告されています。これらの基礎疾患を抱える場合、ゴルフ復帰の一般目安より2〜3週間ほど遅らせる、またはラウンド中も点眼時刻を厳守するなど、リスク低減策を医師と綿密に設定することが不可欠です。
術後に軽度の黄斑浮腫や硝子体混濁が生じた場合も同様で、「ドクターに合併症所見が消失したと明確に告げられるまでは競技強度を上げない」という姿勢が、安全と視機能維持の両立には欠かせません。

さらに、術後に処方されるステロイド点眼を急に中止するとリバウンド炎症が起こることがあります。長時間の屋外プレーで点眼時間がずれる恐れがある日は、携帯用クーラーポーチで薬液を携行し、ショット間の待ち時間に点眼するなど運用面を事前に医師へ相談してください。これにより、合併症を誘発するリスクを最小化しながらゴルフを楽しめます。

ゴルフプレー時の注意点

バッグ運搬とカート利用による負担軽減

ゴルフバッグはクラブ14本・ボール・シューズを含めると10〜15㎏に達し、持ち上げる際に腹圧が急上昇。術後早期に腹圧が上がると一過性に眼圧も上昇し、創口部位の内圧バランスが崩れやすくなります。
ラウンド復帰初期はキャディバッグを仲間やスタッフに積み下ろしてもらい、プレー中も自走式カートや電動カートを活用して負荷を分散しましょう。特にバンカーで一度に大量に砂を掘る行為も眼圧を上げやすいので、初回は最小限のバックスイングを意識し、無理なリカバリーを避けるのが安全策です。

バッグ自体を軽量タイプに買い替え、ボールを最小限に絞る工夫も有効です。加えて、クラブのグリップ交換やシャフトの軽量化でスイング負荷を減らすと、手術眼の微細振動が抑えられ、長時間プレー後の眼精疲労を軽減できます。
負担軽減策を複合的に取り入れることで、術後でも安心して18ホールを歩き切れる体制を整えましょう。

保護眼鏡・サングラスの活用

白内障手術により濁った水晶体が撤去されると、これまで吸収されていた短波長光が眼底まで届くため眩しさと紫外線ダメージが増大します。少なくとも術後3か月はUV400カットかつ可視光線透過率15~30%程度のスポーツサングラスを常用してください。
顔に沿うカーブの「ラップアラウンド」形状ならショット時の風圧やバンカーの砂塵も遮断でき、花粉症対策メガネと同様の保護効果が得られます。

レンズカラーはコントラストを高めるブラウン系か、色味変化が少ないグレー系が推奨です。濃色過ぎると瞳孔が開き、かえって有害光線が網膜に届きやすいので注意が必要。偏光レンズはグリーン上の芝目が読みやすくなる半面、距離感をつかむ影響が出る場合があるため、練習ラウンドで使用感を確かめたうえで本番投入するのが適切です。

環境・天候対策と汗対策

強風下では砂ぼこりや花粉が眼表面に付着し、創口感染のリスクが高まります。風速5m以上の予報日や春先の花粉ピーク時は、花粉症用ゴーグル形状の保護眼鏡を併用し、できればラウンド日程を調整する判断も視野に入れてください。
雨天時もレインキャップのツバから跳ね返った雨粒が術眼に入る可能性があるため、防水キャップ+ワイドバイザーで直接飛沫を防ぐ工夫が不可欠です。

また、暑い季節は汗が点眼薬の成分を流し、皮脂汚れが創口部に入ることで細菌増殖を招きます。吸汗速乾性ヘッドバンドやタオルを首筋に常備し、ショット毎にこまめに拭き取ると同時に、目の周囲を擦らないよう意識しましょう。
術後早期は汗腺活動が変化しやすいので、プレー前に経口補水液で水分・電解質を補い、脱水による眼圧変動を回避することも大切です。

視力変化とパフォーマンスへの影響

術後視力回復の過程とゴルフ感覚の変化

手術翌日から視力は大きく向上しますが、角膜浮腫の軽快や眼内レンズ周囲の炎症収束には2~4週間を要するため、視力は日々微妙に変動します。その間、グリーンの起伏が誇張されて感じたり、距離感が「近く見える」現象が起きることがありますが、多くは術後1か月以内に脳が再適応して自然に解消します。焦点がクリアになる分、ボールスピン量や芝目の陰影が見えやすくなり、慣れるとアイアンの番手選択やライン読み精度が向上するケースが多い点は、術後ゴルフの大きなメリットと言えます。

ただし、白内障手術前に片眼のみで距離感を調整していたプレーヤーは、両眼視機能が回復することでパッティングラインの見え方が大きく変わり、最初は「距離が合わない」と感じがちです。視覚適応をスムーズにするには、術後2週間頃からパターマットやアプローチ練習で新しい奥行き感を繰り返し体験し、脳内の距離認識を上書きするトレーニングが有効です。

レンズ・眼鏡・サングラス選びのポイント

眼内レンズ(IOL)が単焦点の場合、遠方重視に設定すると近距離のスコアカード確認やグリーン上の芝目観察に老眼鏡が必須となります。一方、多焦点IOLは遠近のピントが連続的に合いますが、夜間や逆光下でハロー・グレアが出やすく、夕暮れのホールアウト時にブレーキラインが見えづらいと感じるケースがあります。
自分のIOL特性を理解し、遠近両用メガネや薄色レンズのサングラスを組み合わせて「時間帯別の見え方」を最適化することがスコア維持の鍵となります。

さらに、術後3か月までは傷口への衝撃を避けるため、メタルフレームよりも軽く衝撃を吸収しやすい樹脂フレームを選ぶと安心です。屋外専用サングラスとクラブハウス内用の薄色レンズを2本持ちにして、環境に応じて掛け替えることで、眩しさ対策と視認性を両立できます。
レンズ交換式フレームならゴルフ用・ドライビング用を1本で運用でき、遠征時の荷物を減らすメリットも得られます。

再開時期に関するQ&A

術後どのタイミングでパター練習を始めても良いですか?

医師の許可がある前提で術後1週間目からの軽いパター練習なら可能です。ドライバー練習は2週目以降、18ホールの本格ラウンドは1か月以降が標準的目安です。
合併症や基礎疾患がある方は、このスケジュールをさらに1~2週間遅らせると安全域が広がります。これらはあくまで平均的な回復曲線であり、最終判断は必ず主治医の診療所見に従ってください。

注意点の要点まとめ

白内障手術後にゴルフを再開する際は、下記の3点を徹底することが安全と上達の近道です。

  1. 術後検診スケジュールを守り、医師の許可を得て段階的に負荷を上げる
  2. バッグ運搬やバンカーショットなど高負荷動作を控え、カートや軽量装備で眼圧変動を抑える
  3. 紫外線と埃対策としてUVカット&ラップアラウンド型サングラスを常用し、汗や雨滴が創口に触れないようこまめに拭き取る

術後の視覚は以前よりクリアですが脳の再適応が必要なため、焦らず「練習→翌日の違和感チェック→負荷調整」というサイクルを守り、末永く快適なゴルフライフを楽しんでください。