視力矯正や白内障治療などに用いられる眼内レンズ手術の中でも、多焦点眼内レンズを利用した多焦点眼内レンズ手術は治療後に複数のメリットを得られる手術です。そのため、多焦点眼内レンズ手術を受ける人の目的も複数あり、適応条件として明確な年齢の上限などは設定されていません。
年齢制限がないとされる多焦点眼内レンズ手術ですが、一方で目の中へ人工レンズを埋め込むという術式の仕様上、どうしても患者の肉体へある程度の負担をかけることは避けられません。
現代では昔よりも比較的安全に行えるようになりましたが、それでも患者自身の健康状態や目の状態、手術に耐えられるかといった条件は年齢以上に手術の是非の判断材料となります。
すでに白内障を発症している人には多焦点眼内レンズが適している可能性がある一方、重度の糖尿病患者や医薬品アレルギーのある人、その他にも全身の重篤な症状がある人ではそもそも手術不可となる可能性もあるでしょう。
年齢の上限がない多焦点眼内レンズ手術ですが、まず人の目の状態や性質は学童期から20歳頃まで変化します。そのため特殊な事情がない限り20歳以下の人へ視力矯正を目的とした眼内レンズ手術は原則的に適しません。
また21歳以上であれば多焦点眼内レンズ手術を受けられますが、一般的には40代前後で老眼が始まりだした人に推奨されます。
多焦点眼内レンズを埋め込んだ後、視界のまぶしさが強くなったり、コントラスト感度が低下して視野の鮮明さが低下したりするように感じる人もいます。
またドライアイ体質の人は多焦点眼内レンズの性能が十分に発揮されないため、思ったほどの治療効果を得られないこともあるでしょう。その他にも性格的な相性もあるため、気になる方は以下のページから多焦点眼内レンズが向かないとされる人についてチェックしてください。
白内障は、人間の目の中で生体レンズとして機能している角膜と水晶体のうち、水晶体が白濁化してしまうことで視力が低下したり視野が狭くなったりする目の病気です。白内障は加齢によって発生する症状であり、早ければ40歳前後、80歳を超える頃には誰もが白内障になるとされます。
そのため白内障治療は保険適用となっており、白濁化したレンズを眼内レンズへ置換する手術で改善できます。ただし保険適用の治療は単焦点眼内レンズが対象となっており、多焦点眼内レンズは自費診療(選定療養)となる点が特徴です。
白内障手術については以下のページで詳しく解説しています。
40~50代で白内障の進行していない人が、老眼解消や視力矯正を目的として多焦点眼内レンズ手術を受けることもあります。
なお、屈折矯正手術としての多焦点眼内レンズ手術は自費診療になりです。