多焦点眼内レンズによる白内障手術と医療費控除

「人生100年時代」と呼ばれる現在、単に長生きすることではなく、自立した生活を維持できる期間、すなわち「健康寿命」の重要性が高まっています。国も政策として健康寿命の延伸を掲げ、高齢者が元気に社会参加できる環境づくりが進められています。

なかでも視力は、読書やスマホ、車の運転、外出時の安全など、日常生活の質を左右する大きな要素です。視力が保たれていれば、生活の自由度は格段に広がります。

白内障手術に新しい選択肢「多焦点眼内レンズ」とは

白内障は加齢に伴って多くの人が経験する目の疾患ですが、手術により視力を回復することが可能です。これまでは単焦点眼内レンズが一般的で、遠方か近方のどちらかにしか焦点を合わせられないため、術後もメガネが必要になることがありました。

一方、多焦点眼内レンズは遠くも近くも見えるよう設計されており、老眼も同時に改善できます。旅行、車の運転、パソコン作業など、アクティブな生活を送りたい人にとって適した選択肢です。

高額でも選ばれる理由――医療費控除で節税できる!

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は保険が適用されず、費用は数十万円から百数十万円にのぼることもあります。しかし、こうした費用は「医療費控除」の対象となり、確定申告により所得税や住民税の軽減が可能です。

例えば、年収600万円の方が160万円の医療費を支払った場合、控除対象は150万円となり、課税所得がその分減少します。結果として10万円以上の節税につながるケースもあります。

医療費控除の例

たとえば年間の医療費が100万円、保険金等で補填された分が10万円と仮定した場合、下記のような節税が可能になります。

所得層 年収(目安) 課税所得 所得税率 控除対象額 所得税節税額 住民税節税額 合計節税額 医療費控除の効果
高所得者層 1,200万円 約900万円 33% 80万円 26万4,000円 8万円 34万4,000円 非常に大きい
ミドル層 600万円 約350万円 20% 80万円 16万円 8万円 24万円 大きい
低所得者層 300万円 約100万円 5% 80万円 4万円 8万円 12万円 中程度
非課税所得層 〜100万円程度 0円 0% 80万円 0円 0円 0円 効果なし

専門家でなくても確定申告ができる時代

医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、e-Taxやマイナポータルの活用により、手続きは大幅に簡便化されています。スマートフォンで申告が可能なため、税務署へ出向かずに済む点も魅力です。

領収書や明細書のデジタル保管・提出も一般化しており、煩雑な紙の管理も必要ありません。

まとめ

白内障手術は視力を回復するためだけでなく、QOLを高め、社会とのつながりを維持するための重要な治療です。なかでも多焦点眼内レンズは、快適な日常を支える有効な手段といえるでしょう。

さらに、その費用を負担に感じる方も、医療費控除の制度を活用すれば節税という形で家計の助けになります。高額な手術であっても、確定申告を通じて大きな経済的メリットが得られるのです。

あなた自身やご家族の視力と将来の資産を守るためにも、まずは信頼できる眼科医に相談し、見積書や明細書をきちんと準備しておきましょう。そして忘れずに、確定申告の手続きを始めることが大切です。それが「健康」と「お金」の未来を守る、最初の一歩となります。